事故が起こった際の被害を最小に抑える安全性能が「パッシブセーフティ」なら、その逆に、事故を未然に防ぐ安全性能が「アクティブセーフティ」だ。これは、非常に広い範囲を示す言葉で、視界のよさやボディの見切りのよさ、扱いやすさといった抽象的なものまで、その範囲に含まれることもある。
最近では電子制御技術の進化によってさまざまな安全装備が登場している。日本では1983年に採用が始まった電子制御ブレーキの「ABS」(当初は「4輪ESC」と呼ばれた)は、今ではごく一部の軽自動車を除いて標準で装備される安全装備だ。また、制動時のABSだけでなく、発進時の「トラクションコントロール」や、走行中の「横滑り防止装置」などまで、さまざまな安全装備が開発され、順次普及が進められている。
また、最新のレーダー技術や解析技術などを活用し、一定の車間距離を維持して走ったり、走行車線からの逸脱を防止する仕組みや、夜間走行中に前方視界を確保して障害物を感知する仕組みなども実現化されており、すでに採用が始まっているものもある。
全輪駆動(4輪駆動)システムは、前後のタイヤに駆動力を伝えて走るので、前2輪だけのFF車や後2輪だけのFR(またはRR)車に比べて、操縦安定性が高まる。
電子制御でブレーキを断続的に働かせることで車輪のロックを防ぎ、緊急制動時にクルマの挙動を安定させる技術「ABS」は、ごく一部の軽自動車を除くとすでにすべてのクルマに標準で装備されており、アクティブセーフティの基本ともいえる装備となった。電子制御でブレーキ力の前後配分をコントロールする「EBD」や、緊急ブレーキと判断したときには踏力に対してブレーキ力を高める「ブレーキアシスト」などとも組み合わされることが多い。
滑りやすい路面での発進時にアクセルを踏みすぎたときなど、タイヤの空転を判断するとエンジンの出力を抑えてスリップを防止する仕組み。次の横滑り防止装置と組み合わせ採用されることも多い。
現在、普及の途上にあるのが、この「横滑り防止装置」だ。カーブを曲がるときにクルマの走行ラインがふくらんだり、あるいは巻き込んだりするのを防いで、安定した走行を確保する装置。メーカーによって、ESC、ESP、VSC、VDCなど多数の呼び方があるのが普及を妨げているとして、部品メーカーからは「ESC」という名称に統一しようという声が出ている。
トヨタが一部の高級車に採用している、横滑り防止装置を進化させたシステム。通常時からクルマの動きを判断し、クルマが滑り出す前から早期に介入してクルマの挙動を安定させる。
アクセルを踏まなくても一定の車速を維持して走るクルーズコントロールに、車間距離制御機能を追加したもの。プリクラッシュセーフティシステムに組み合わされる。
道路に書かれた車線を示す白線をカメラなどで判断し、それを踏み越えそうになると警告音やステアリングへの振動などでドライバーに知らせるもの。「車線逸脱防止機構」として、クルマを車線内に戻す形でステアリングを働かせるものもある。
ハンドルを操作したとき、操舵の方向に向けてヘッドライトが照らす向きを変えるシステム。暗い夜道での視界を確保する。
クルマの後部にカメラを設置してカーナビの液晶画面に後方視界を示すのは、メーカー純正カーナビに追加される常識的な機能となった。ほかにもクルマの周囲にカメラを配置して、周囲の状況を真上から見た形で表示する「アラウンドビューモニター」や、見通しの悪い交差点で左右方向の視界を確保する「サイドブラインドモニター」なども普及が進んできた。
追突時にヘッドレストと頸部の間隔を狭めてむち打ち症の被害を低減する「アクティブヘッドレスト」(メーカーによって呼び方が異なる)や、衝突時にペダルが落下するなどして足への被害を軽減する「セーフティペダル」(メーカーによって呼び方が異なる)、衝突時に乗員の潜り込みを防ぐ「アンチサブマリニングシート」など、いろいろな安全装備が考えられている。
「プリクラッシュセーフティシステム」とは、衝突が避けられない状況になった場合に、被害を最小限に抑えるための技術で、ちょうどアクティブセーフティとパッシブセーフティの中間に位置するような安全技術だ。具体的には、走行するクルマの前方を監視して、衝突が避けられないと判断したときにブレーキ操作をうながし、さらに状況に応じてブレーキを働かせたり、シートベルトのゆるみを巻き上げたりして衝突に備えたりする。車間距離制御装置などと組み合わせて採用されることが多く、一定の条件下ではクルマを完全に停止させて安全を確保する仕組みも登場するなど、まさに最先端の安全技術と言っていいだろう。
こうした最先端の安全技術は、メーカーによって呼び方が異なっており、「プリクラッシュセーフティシステム」はトヨタの呼び方。ホンダでは「追突軽減ブレーキ(CMBS)」、日産では「インテリジェントブレーキアシスト/前席近急ブレーキ感応型プリクラッシュシートベルト」、スバルでは「アイサイト」などと呼ばれている。
「プリクラッシュセーフティシステム」は、日本メーカーでの採用が先行したが、最近ではヨーロッパ車にも採用されるようになった。ボルボが「XC60」に採用した「シティ・セーフティ」などはその典型で、ボルボでは歩行者検知機能付きフルオートブレーキシステムに発展させている。
http://kakaku.com/article/pr/10/carsafety/p01.html
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